はてなブックマーク - 「イクメン」について改めて思う 2011年01月21日

「イクメン」について改めて思う

DSC01433


専業主夫生活に入って半月が経ち、気がついたことのひとつが、
想像以上に「イクメン」という言葉が世の中に定着しているということでした。

ちなみに、「イクメン」とは、育児に主体的に関わる男性をあらわす言葉です。

幼稚園の先生から、公園で出会うママさんから、はてはたまたま同じバスに乗り合わせた
おばちゃんからも、「『イクメン』ですね」と声をかけられます。

その頻度は、だいたい2〜3日に1度。
幼稚園や習い事の送迎以外、ほとんど外部との接触機会がない生活を送っていますので、
かなりの頻度になろうかと思います。

やはり、2010年ユーキャン新語・流行語大賞のトップ10に選ばれたこと、
それと前後して、各種メディアが「イクメン」特集を取り上げるようになったことが
大きいのだろうと実感しています。



「イクメン」たちの反応

ところで、育児に主体的に関わる男性は「イクメン」と呼ばれることを
どのように感じているのでしょうか。

おそらく多くの方は、戸惑いやいらだちを感じているのではないでしょうか。

「イクメン」という言葉が流行語として消費されることに比較的肯定的な立場を
とっている私でさえ、いざ自分自身がこう呼ばれると、どこかむずむずした思いを
感じざるを得ません。


先日、nanapiに投稿した記事「イクメンをイクメンと呼んではいけない理由」でも
次のように書きました。

現在、育児に主体的に関わっているパパさんたちの多くは、まだ【イクメン】という言葉が流行りはじめる前から率先している方々です。そんな方にとってみると、あくまでも育児=当たり前のことをしているという意識が強いです。

まだまだマイナーな生き方である以上、みなさん自分の選択にプライドを持っています。流行語がうまれて世間から認知されることを喜ばしいと思っている反面、とってつけたような流行りの言葉でひとくくりにされることを嫌がる気持ちも持っています。

この考え方は、いまもなお変わっていません。


メディアでの取り上げられ方

現在の各種メディアにおける「イクメン」の取り上げられ方も
表面をなめるようなものばかりなのが、違和感を抱く原因に
なっているのではないかと感じています。

具体的にいうと、「オムツを替える」「ミルクをあげる」といった
体を動かす“行為としての育児”にフォーカスされすぎていて、
それだけやっていれば十分だとするような風潮があるように思うのです。

実際には、「思ったほどミルクを飲まない」だとか「育児書通りに離乳食が進まない」だとか、
もう少し子どもが大きくなれば、お友達とのトラブルが起こった時の親同士の
コミュニケーションの取り方とか、表に現れる行為の裏側に隠された悩みは
たくさんあるわけですが、そのあたりの問題は「イクメン」特集には出ない、
つまり、母親サイドに置き去りにされたままになっているような印象があります。

また、実際に「イクメン」として活躍する男性においても、
理想的なワーク・ライフ・バランスを実現させるためには
キャリアを落とさないための会社・上司とのギリギリとしたやりとりがあったり、
夫婦間のもめごとにまで発展した問題を乗り越えたりする苦悩があるはずですが、
そうしたところの掘り下げも甘いように思います。

さらにいうと、“行為としての育児”をよりファッショナブルに見せるための
最新育児グッズのフック(販促)として「イクメン」というワードが
キャッチーに使われている印象もぬぐいきれません。

こうした取り上げられ方が、ただでさえ一時的な流行のように扱われて
いらだっている「イクメン」たちに追い打ちをかけているように思えてならないのです。


「イクメン」ブームは悪なのか?

では、「イクメン」という言葉が流行し、消費されることは悪いことなのでしょうか?

この問いに対しては、明確に「悪ではない」と言えましょう。

病児保育・病後児保育NPO法人フローレンスの代表をなさっている駒崎さんが
先日ブログに書いた記事が大変参考になります。

■岡山で託児付き講演!〜イクメンは「ゆるワード」ではなく世直しである〜
http://komazaki.seesaa.net/article/180456172.html

一部引用します。

昨年から厚労省と共にイクメンキャンペーンを行わせて頂いてますが、「イクメンって言葉って、どうよ?」という反応を、(皮肉なことに)特に女性から多く頂いております。

(略)

誰も心から「『イクメン』って言葉が心にしみわたるよなー。ほんと最高の日本語だよ!」なんて思っているわけないんですよ。むしろ博報堂さんが最初に言い出した時は「え、その路線?(苦笑」と、その後厚労省イクメンプロジェクト推進委員を拝命することになる自分さえ思ったほどです。

しかし、社会運動には「アイコン」が必要なんです。
寄付のアイコンがタイガーマスクだったように。「環境に対する負荷が低い行動や、それにまつわる諸概念」じゃあ誰も理解しないから「エコ」という言葉を、市民団体を中心として流通させたんじゃあないですか。「事業によって経済的な自立を果たしながら、社会問題解決を最終目的とする団体」じゃあ分かりづらいから、「ソーシャルビジネス」っていう言葉が生み出されたんじゃあないですか。「これまではしつけの延長線上に理解されてきたけれども、こどもの発育にとって決定的に良くない行きすぎた暴力やしつけ」じゃあ伝わらないから「虐待」という言葉が人工的に提唱されたんじゃあないですか。

世の中に広まっているタームは、ある一定の価値観を広めて世の中を少しでも変化させようと言う、名もなき集団や個人がいて、彼らの社会運動の重なりによって、世の中はちょっとずつ動いているわけですよ。

そして社会運動にとって決定的に大事なのが「分かりやすさ」
大卒インテリだけが狭いコミュニティの中で言ってても、世の中全体には広がらないんです。「ダイバーシティ」の概念がいまいち広がらないのも、英語が難しいから。町場の人たちが聞いて普通に理解されないと、広がらないということなんです。


世の中を動かすためには、多少乱暴でもわかりやすい「アイコン」が必要で、
その「アイコン」を旗印に、まずは社会的に問題や存在を認知させることから
スタートしなければならないのです。


「イクメン」は社会的に認知された?

ここで冒頭の話の戻るのですが、
少なくとも私の住んでいる地域においては「イクメン」という存在についての
社会的認知はある程度得られているのではないかという実感を最近感じているのです。
(地方では根強い伝統的価値観がある等、地域差があろうことは認識しています)

実は、ネット上で各種ソーシャルメディアやブログを中心に
「イクメン」という言葉への反応を不定期で観察しているのですが、
昨年夏くらいまでは
「はじめて知った」
「なにそれ、おいしいの?」
「語感が卑猥」

・・・という反応が多く見受けられました。

それがここ最近では、言葉の定義を知っていることを前提に、
会話や文章が組み立てられていることがほとんどです。

社会的認知を得るためのフェーズはすでに終盤戦にさしかかっていて、
これからは、よりその中身 ――「イクメン」という生き方そのもの―― に
問題・注目を深化させるフェーズに入っていると感じています。

タイガーマスク騒動によって、児童養護施設の存在に注目が集まり、
これまではごく限られた方だけが問題視していた施設の人員不足に
言及するメディアが現れたこと。

超党派の国会議員が施設側の受け入れ態勢の充実に向けた対策を講じるよう
政府に求めていく動きにつながったこと。

そして、おそらくはそうした社会的な動きが影響してでしょう、
首相・政府を動かしそうになっていること。

「イクメン」もこうした大きな流れにつなげていく時期に来ているのではないかと思うのです。


「イクメン」の深化の方向性とは

では、「イクメン」問題を深化させるとはいかなることなのでしょう。

制度の充実?
もちろんそれもあるでしょうが、例えば介護育児休業法は
昨年6月に改正法が施行されたばかりで、すでに制度としては手の届くところにあり、
かつ、その内容もかなり整備されているんですね。

カリスマロールモデルの登場?
これもあるでしょうが、家庭の数だけ家庭事情はありますので、
「イクメン」の「あるべき姿」をひとつのイメージに収斂させること自体
無茶な話ですし、なにより定義を厳格にすればするほど、どうやったって
その「あるべき姿」に到達できない人たちのやる気をそぐことにもなりかねません。


正直なところ、私自身、この問題についてちゃんとした答えを持つに至っていません。

ただ、先日ライフドアさんで公開された @kobeni さんの記事は
タイトルこそ「“専業主婦VS働くママ”の終わり」と女性向けですが、
これからの男性(父親)の生き方を考えるうえでのヒントが含まれていると感じています。

■「人は、気が変わる」ということ―“専業主婦VS働くママ”の終わり by kobeni
http://blog.livedoor.jp/lifenet_seimei/archives/50547690.html


男女雇用機会均等法の施行以降、ワーキングマザーというくくりが生まれ、
<専業主婦 vs ワーキングマザー>というちょっと乱暴な対立構造で語られること25年。
ようやく対立から相互承認へと風向きが変わりつつあります。

父親としての生き方・価値観の多様化を進めるうえで、同じだけの時間をかけては
あまりに学習がなさすぎるというものです。

多様性を認める社会づくり。
この点に注力して、凝り固まった男性の意識に働きかけるような
施策が打たれることを願っています。と同時に、父親ひとりひとりの生き様が
大きなうねりにつながるという意識も忘れることなく、その一翼を担っているものとして、
日々実践していきたいとも感じるところです。


さきほどの駒崎さんはじめ、“父親であることを楽しむ”をモットーとした
NPO法人ファザーリング・ジャパン
の安藤代表もおっしゃっていますが、
男性が育児に責任をもって主体的に取り組む生き方が当たり前のものとなり、
「イクメン」という言葉そのものがなくなることを目標とするというビジョンに
強く共感します。

なにより、みんなが同じような生き方をしている社会より、
みんながそれぞれ違った生き方をしている社会のほうが
人と出会ったり、話をしたりするのが楽しいと思うんですよね。

お互いの異なる価値観に啓発されて、自分の生き方を見直して、
というような動きを絶えず繰り返すダイナミック社会になりますよう。
人との出会いが新たな驚きと発見に満ち、お互いに受け入れ・受け入れられる
社会になりますよう。社会のわりと片隅から願っているところです。



Related Posts with Thumbnails

■父親からのお願い■

「父親のおなか」の記事をご覧になって共感していただけましたら、ぜひまた読みにきてください。たくさん読んでいただけると、子育てでグッタリの日でもブログを更新しよう!とヤル気が出ます。TwitterFacebookページでも更新情報をお知らせしています。

この記事への評価・フィードバック

posted by みやもと かずよし at 01:20 | Comment(2) | TrackBack(0) | 父として思ったこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめてブログ拝見させていただきました。

イクメン=ミルクをあげたりオムツを替える

だけでは無く、もっと悩みを夫婦で共有し一緒に対策を考える

事が大事なのではないのかなとブログを読んで共感させられました。

イクメン応援サイトを運営していて、今育児に参加されている

お父さん方のブログのリンク集を作成しているところなのですが、

よろしければリンク集にリンク張らせて頂けないのでしょうか?

そして、ブログで私のサイトを紹介して頂けたら幸いです。

Posted by tammy at 2011年08月02日 00:25
イクメンはいい結婚相手だと思う
Posted by 22 at 2011年10月27日 13:37
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/181711921
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。